子どもが独立して家の中が静かになり、家の片付けも少しずつ進んで自分の時間が増えてきたというアラカン女性から、こんな話を聞くことがあるんですよね。
たまには気分を変えたいけれど、旅行は少し大げさな気がするから一人で温泉でも行ってみようかと思うけど、なんとなく踏み出せない。
一人で温泉へ行くことへの抵抗感があるのはわかる気がします。
周りはみんな友人同士や家族連れだろうから、一人だと浮いてしまうんじゃないか、楽しめなかったらどうしよう、わざわざ行く意味があるのかとかそんなことをぐるぐる考えているうちに、結局どこへも行かずに一日が終わるという経験は一度や二度じゃないかもしれません。
そこで、どこの温泉がいいよといった温泉の効能や施設のランキングを紹介ではなく、どうすれば日帰り温泉を一人で楽しむためるのか、一人で出かけることへの心理的なハードルを少しだけ下げるためにはどうするか。
家以外にも落ち着ける場所があるという視点で紹介していきますね。
一人で温泉に行くことへの抵抗感は自然なこと

日帰り温泉に一人で行ってみようと思ったことはあっても、なかなか行動に移せないという人は少なくないですよね。
温泉に限らず、一人での外出というのは、慣れていないと最初だけ少し勇気がいるので、その感覚はおかしいわけではありません。
どんなことに不安や抵抗感があって行動に移せないのかを考えてみると、こんなことが思い当たるんですよね。
浮いてしまうという不安の正体
一人で温泉へ行くことに抵抗を感じる理由として、いちばんよく聞くのが浮いてしまわないかという不安です。
脱衣所で一人もくもくと着替えている自分が、なんとなく寂しそうに見えるんじゃないか、湯船につかりながら周りは楽しそうに話しているのに、自分だけ黙っているという場面を想像してしまう。
でも実際に行ってみると、浮くという感覚はほとんどないんですよね。
日帰り温泉の施設には一人で来ている人がかなりいて、平日の昼間ならなおさらで、それぞれが自分のペースで過ごしていて、誰も他の人のことをそれほど気にしていないというのが正直なところ。
周りの事が気になっているのは自分だけということって多いんですよね。
楽しめなかったらどうしようという心配
もうひとつよく聞くのが、楽しめなかったらどうしようという不安です。
せっかく行ったのに話す相手もいないし、一人だと時間を持て余してしまって、手持ち無沙汰になるんじゃないかと。
これも、考え方を少し変えると楽になります。
本来、温泉に行ったら楽しまなきゃいけないということはなくて、お湯に浸かって少しぼんやりして帰ってくる、それだけで十分なんです。
映画を見て感動できなかったからといって損した気分になるように、温泉でも楽しめなかったら失敗、という発想がそもそも出かけることへのハードルを上げているんですよね。
わざわざ行く意味があるのかという迷い
家にお風呂があるのに、わざわざお金を払って温泉に行く意味があるのか、という迷いもあります。
特に一人だと、移動の手間を考えると面倒になってくるし、自分へのご褒美というほどでもないし、旅行というほど特別でもない、そのどちらでもない曖昧さが、背中を押しにくくしているのかもしれません。
ただ、家のお風呂と温泉施設が違うのは、家じゃない場所にいるということだけで十分なんです。
洗い物が目につかない、スマホに手が伸びない、ここを出たらあれをしなきゃという考えが少し遠ざかるという違いが思ったより大きかった、という声をよく聞きます。
わざわざ行く意味は、案外その一点だけで成立することがあるんですよね。
日帰り温泉が気楽に利用しやすい理由

旅行は、荷物をまとめて宿を予約して、スケジュールを組んでという準備が必要になるから少し大変、という感覚を持っている人は多いですよね。
体力的にも気力的にも、少し腰が重くなってきた、という人もいるんですよね。
日帰り温泉は、その点でずいぶん違います。
荷物が少なく準備がほとんどいらない
日帰り温泉に必要なものは、タオルとお金くらいです。
施設によってはタオルも貸し出しがあるので、財布と着替えだけでも行けることろもあるので、宿泊旅行のようにスーツケースを引っ張っていく必要はなく、いつものバッグひとつで出かけられる手軽さがあります。
準備に時間をかけなくていいというのは、思ったより気持ちが楽なんですよね。
前日から荷物を確認して、忘れ物がないか何度も確かめてという作業がないだけで、出発のハードルがぐっと下がり、思い立ったその日に行ける、というのが日帰りの一番の強みだと思っています。
予約なしで行ける施設も多い
日帰り温泉の多くは事前予約が不要なので、気が向いた時に行って混んでいれば少し待てばいいし、宿泊旅行のように何週間も前からカレンダーを押さえなくていいという気軽さが、一人での利用にとても合っているんですよね。
誰かと一緒に行く時は、相手のスケジュールに合わせる必要がありますが、一人なら自分の気持ちと体調だけで決められる。
今日は気分がいいから行ってみよう、と思ったその朝に動けるその自由さが一人温泉のよさのひとつです。
数時間で帰れるという安心感
日帰りというのは、数時間あれば完結しますよね。
移動に一時間かかったとして、お湯に浸かって休憩して帰ってきても夕方には家にいられるので、宿泊旅行のように、翌日のことを心配しながら眠る必要もない。
旅行が苦手になってきた理由として、知らない場所で眠れるだろうか、体調を崩したらどうしようと、泊まることへの不安を挙げる人がいますが、日帰りならその不安がそもそも生まれないですよね。
疲れたら帰ればいいだけなので、自分のペースを崩さずに済む。
この帰れる安心感が、外出への一歩を軽くしてくれることがあります。
一人温泉で無理に楽しもうとしなくていい

日帰り温泉に行くとなると、せっかく行くんだから充実した時間にしなければ、という気持ちが出てくることがあります。
でも、それがかえって出かけることへのプレッシャーになったり、帰ってから思ったより楽しくなかったという感想を持つことにつながったりするんですよね。
ひとりで温泉に行ったら無理に楽しまなくていいんです。
お湯に浸かるだけで十分
温泉に行って何をするかと聞かれたら、お湯に浸かるとしか言いようがなく、それ以上でもそれ以下でもないんですよね。
景色がきれいなら見ればいいし、休憩室で少し横になりたければそうすればいい。
でも、それをしなければいけないことにすると、途端に窮屈になります。
お湯に浸かって、湯気の中でぼんやりして、上がったら水を一杯飲む、それだけのことが、家の中にいる時間とはっきり違う時間を作ってくれます。
特別なことは何もしなくていいし、充実感を持って帰らなくていい、ただ家じゃない場所で少し時間を過ごしてきた、という事実だけで十分なんです。
何もしない時間を持てる場所は少ない
家にいると、テレビをつけたりスマホを見たり、洗い物が目に入って手を動かすなどなんとなく何かをしてしまって、意識して休もうとしていても、家の中にいる限りはやることが視界に入ってくるんですよね。
それが悪いわけじゃないけれど、頭の中がなかなか空っぽにならないという感覚がある。
温泉の湯船の中は何もできない場所で、スマホも本も持ち込めないからすることがない。
最初は手持ち無沙汰に感じるかもしれないけれど、しばらくするとそのすることがない状態がとても贅沢なものに感じられてくるんですよね。
頭の中にあったざわつきが、お湯の温度と一緒にゆっくり溶けていくような感覚があって、これが温泉施設を何もしない場所として使うということなんです。
帰り道の感触が行った証拠になる
温泉から帰る時、体の感触が行きと少し違って肩の力が抜けている、足が軽い、気持ちが少しだけ整っているって事ありますよね。
楽しかったかどうかという問いへの答えは曖昧でも、悪くなかったという感覚は残ることが多くて、その感触が次に行く時の背中を押してくれます。
あそこに行くとなんとなく気持ちが楽になるということだけわかっていれば、一人で行くことへの抵抗感は少しずつ薄れていくんですよね。
最初の一回を楽しめるかどうかというテストのように考えないことが、一人温泉を続けるためには大切なんです。
最初は近場の施設から始めると気楽です

一人で温泉へ行くとなると、どこへ行けばいいか迷うことがあります。
遠くの有名な温泉地まで行かなければ、という気持ちもあるかもしれませんが、最初は家から近くて気軽に行ける施設で十分で、むしろその方が続けやすいんですよね。
車で三十分圏内から始める
最初の一回は、電車だと乗り換えが少ない場所だったり、車だと30分程度など移動時間がかかりすぎない場所が向いています。
遠ければ遠いほど行く価値があるかどうかという判断が厳しくなり、疲れた時に帰りが億劫になりますが、近ければ少し気が向いた時にふらっと行けるし、思ったより楽しくなくてもダメージが少ない。
スーパー銭湯のような大きな施設は、設備が整っていて一人客も多く、初めて行くには向いていることがあります。
地元にあるような日帰り温泉施設でも十分で、有名な温泉地に行かなければ意味がないということは全くないんですよね。
平日の昼間がいちばん気楽
週末や祝日は、家族連れや友人同士のグループが多くなり、混んでいると落ち着かないし、一人でいる自分が少し目立つように感じることもあるので、最初は平日の昼間に行くのが気楽に過ごせるんですよね。
平日の昼間は、同じように一人で来ている人が多くて、仕事を引退した世代や子育てが一段落した世代、そういう人たちが自分のペースで過ごしていることが多いので、浮く心配も週末よりずっと少ないです。
どことなく似た時間の流れ方をしている人たちがいる空気というのは、居心地がいいんですよね。
長居しなくていい
最初から何時間も滞在しようとしなくていいので、お湯に浸かって少し休憩して、一時間半か二時間で帰るくらいでも十分気持ちが切り替わります。
長くいなければいけない、という決まりはないんですよね。
時間を決めて行くと逆に気楽になることがあり、二時間だけと決めておくと、手持ち無沙汰になってももう少ししたら帰るという見通しがあるから焦らないし、時間が余っても休憩室でぼんやりしているか少し早めに帰ればいいので、自分で決めた時間の中で、自分のペースで過ごすだけでいいんです。
持ち物はシンプルにする
初めて行く時に、あれもこれも持っていこうとすると荷物が増えて、それだけで少し面倒になります。
タオルは施設のレンタルを使えばいいし、洗面台で使うものも施設に置いてあることが多い、着替えは最低限にして、財布とスマホ、着替え一式だけで行ってみるくらいの気持ちでいいんですよね。
完璧に準備してから行こうとすると、出発のハードルが上がってしまうので、足りないものがあったらその時考えればいいし、初めての場所で少し勝手がわからなくても困ったら聞けばいいだけなので、完璧に準備してから行く必要はないんですよね。
荷物が少ないほど、一人での外出は身軽になります。
日帰り温泉は家と外をつなぐ居場所になる

ここまで読んでいただいて、一人で温泉に行くことへのハードルが少し変わった感覚があれば、それで十分だと思っています。
行かなきゃいけない、という話ではないんですよね。ただ、選択肢のひとつとして知っておくだけで、暮らしの感触が少し違ってきます。
旅行でもなく、日常でもない場所
日帰り温泉は、旅行ほど特別ではありませんが、近所のスーパーへ行くのとも違うので、その中間にある暮らしの延長線上の場所なんですよね。
家でもなく、誰かとの約束の場所でもなく、ただ自分が落ち着くために行く場所。
そういう居場所が一つあると、日常の中での気持ちの使い方が少し変わります。
疲れた時に温泉に行けばいい、気持ちが詰まった時にお湯に浸かってくればいい、そういう逃げ場というか、気分を切り替える場所を自分の中に持っていることは、この年齢の暮らしにとって思ったより大切なことなんですよね。
家が好きでいい、ただ、家以外にもそういう場所があっていいということです。
また行こうという気持ちが暮らしに流れを作る
一人で温泉に行って帰ってきた後、また行こうと思えた時に暮らしの中に小さな楽しみがひとつ増えます。
次はあの施設に行ってみようか、平日に時間を作って行こうかという気持ちが、日常のどこかに軽い弾みを作ってくれるんですよね。
大きな目標を立てる必要もなく、また行きたいと思える場所が一つあるというだけで、毎日の時間の流れ方が少し変わることがあります。
それは旅の計画でも趣味でも人との約束でもなくていい。
日帰り温泉でもいいし、図書館でもいい、自分にとってのまた行こうと思える場所をひとつ持っていると暮らしにハリが出るんですよね。
家以外の居場所は家をより大切にしてくれる
外の居場所を持つと、家に帰ってくる時の感触が変わります。
お湯でほどよく疲れた体で帰ってきて、自分の家の椅子に座る時の、ああ帰ってきたという感覚は、ずっと家にいる時とは少し違うんですよね。
家の外に出た分だけ、家の居心地のよさが更新される感じがあります。
家が好きだからこそ、外にも場所を持てるということだし、家を大切にしてきた人が、その延長線として外の居場所を見つけていく。
住まいを整えてきたことと、一人で外に出てみることは、方向性として矛盾していないんです。
むしろ、家を軸にしながら少しだけ外の空気を入れるという暮らし方は、アラカン世代の一人時間の使い方としてとても自然なんですよね。
まとめ
今回は、一人で温泉へ行くことに少し抵抗を感じるアラカン女性へ向けて、気楽に利用する考え方についてまとめました。
日帰り温泉は特別な旅行ではなく、家以外にも落ち着ける場所を持つひとつの方法で、無理に楽しもうとせず、自分のペースで過ごすことで、気分転換の時間として取り入れやすくなります。
一人で浮かないか、楽しめるかどうかという不安は、最初だけ心理的ハードルが高くなるものの、実際に行ってみると一人客は多く、誰も他の人のことをそれほど気にしていない。
日帰り温泉は荷物が少なく予約不要の施設も多く、数時間で帰れる安心感があって、旅行ほど準備が要らないので、最初は近場の施設に平日の昼間の二時間くらいを目安に行ってみるのがオススメ。
お湯に浸かって少しぼんやりして帰ってくる、それだけのことが、家にいる時間とは違う空気を作ってくれます。
家が好きでいい、ただ、家以外にも自分が落ち着ける場所が一つあるということを知っているその感覚が、この年齢の暮らしをすこし軽くしてくれます。


コメント